4月にあった石巻の「つるの湯祭り」のこと。 その1

ある日のこと。一通のメールが着ました。
それは、昨年石巻の日和アートセンターでレジデンスアーティストとして
来ていた炙り出し絵師の水川千春さんからでした。

昨年初めて彼女の作品を目にした時に、
なんというか、感覚的に強く共感することが多くあって
そのうち一緒に何か作品作りたいねと話していたのでした。




話をしていると、大阪の浮世絵師の東學さんも、
お互いお世話になった共通の人だったりと繋がっているものだなぁと縁を感じていました。

(腐った牛乳の女って言えば解ると思いますって言ってたのが印象的でした笑)

そんな時にメールで、

「今度石巻のイベントで炙り出しをするので、一緒にやりませんか?」

という内容だったので、二つ返事でオッケーしました。

地元の地元、石巻で自分自身の表現をするのには、
実は何故か結構な抵抗感を感じていたのですが
今回はそんなこと思っている場合ではないと、ふっきりました。

ところで、なんのイベントなのかと尋ねると、

「さっこちゃん」という名が出て来ました。
たまに風のうわさで耳にしていた名前で、
水川さんと同じくノマド的なアーティストで石巻にも度々来ていたらしく、
ボランティアの人や、ギャラリーの人、地元住民からその名を耳にしていました。

どうやら、その「さっこちゃん」が僕の家の近所の住吉地区の銭湯
「つるの湯」を震災後に営業再開までお手伝いをして
その銭湯のイベントというのは簡単に説明をしてもらった。

あとは本人に直接連絡をとって話をしてみてほしいと。


色々な期待もあるのと同時に大きな不安もありました。

というのも、震災後に石巻では大小様々なイベントが
本当に頻繁というレベルを超えて、乱発していた時期があって。

急にどこからかやってきて、やれ復興だ〜!、絆だ〜!未来だ〜!頑張れ〜!
聞きました!あなたもアーティストなんですね。
それじゃ、ステージでやりますか?あ、やらない。なら是非手伝ってー!と
言われ、よくわからんけどお手伝いして、イベントが終わると、

みんなの笑顔が見れて逆にこっちが元気でました。ありがとう!
この事は忘れません〜!と。

そして、後片付けは地元のみんなが疲れてやっていて。
遠くから来てくれたんだものね〜〜・・・と、言い合って。

なんというか、ありがたいと勿論思うんです。みんな一生懸命だったのは解るし。
でも、同時になんか、よく解らないモヤモヤもあって複雑な気持ちでした。

そのモヤモヤは、いわゆる結局のところ「お祭り騒ぎ」をしたいだけだったのかなぁ?
と感じるもので、一体、何が復興なのか、このイベントで何が残ったのかと、
それがいつしか復興関係のイベントへの疑心暗鬼にまでなっていました。
彼らにとってみれば一回きり。僕らにとってみると、それが数十回目、数百回目。

そういう風に思うのは良くない!って振り切ろうとすればするほど
辛くなるので結構これがまた困るものでして。


水川さんが関わっているから大丈夫だろうと、
思いつつもやっぱり最初はちょっと怖くて。

そのさっこちゃんにいざ会ってみると、とても小柄で、声も小さく
小動物みたいな金髪のお姉ちゃんでした。
向こうも緊張しているようでした。




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